稲田姫物語 オロチ退治前日の話。

なんだかよく分からないのですが、先日突然この様な話が脳裏にダウンロードされたのです。

本当はこんな話を書いて良いのか不安ですし、ブログに載せて良いのか分からないのですが・・・。

おっさんs的には良いみたいなのですけど(´・_・`)。



ー オロチ退治前日 ー


川での禊を終えたスサノオは上半身裸のまま胡座を組み、櫛で髪を梳いていた。

高天原を追い出されてからというもの、着の身着のまま髪など気に留める余裕無く彷徨っていた結果、スサノオの癖髪は見事に絡まり、そして今この大男をおおいに悩ませていた。

好き放題に伸びた髪を前に集め力を以って解こうとするも、ますます絡まりは酷くなる有様。

スサノオは己の内から湧き出る癇癪の炎に呆れながらも、己の髪に挑み続けていた。

一方、その様子を少し離れていた所から見守っていたクシナダは、見るに見かね、迷った末に声を掛けた。

「わたくしが・・・」

スサノオは少し驚いた様子でその声の聞こえる方へと振り返ると、少々決まりが悪そうに櫛を渡しながら言った。

「申し訳ない」

クシナダは首を横に振りながら無言で櫛を受け取ると、スサノオの髪を背中に集め、背後から髪に櫛を入れ始めた。

だがやはり櫛は通らず、クシナダは櫛を一旦手放して髪を手でほぐし始めた。

「ちょっと失礼」

スサノオは身体を傾け傍に置いていた服から何かを取り出し、ちらりとクシナダを見返り、そしてまた前を向き、大きな背中を丸めて何か作業を始めた。

それからというもの二人はそれぞれの作業に没頭し、時々スサノオが痛みに耐える声を漏らし、それに対して謝るクシナダの声以外は何も聞こえなかった。



それからしばらくしてスサノオの髪の毛のひとつ目のもつれの目処が立った時、クシナダはふとスサノオの背中に気がついた。

(大きな背中・・・)

今この男は大きな背中を小さく丸め何か作業をしているが、その身体はこの辺りでは見かけない程大柄で、そして惚れ惚れする様な肉体の持ち主だった。

その事に気がつくと突如クシナダに羞恥心が襲った。

男の裸など、この辺りの男のものだったら見慣れているというのに・・・。

クシナダの異変に気がついたスサノオは、振り向き心配そうに声を掛けた。

「怖いかい?」

「えっ?」

クシナダは動揺した。

この大男に自分の心が見透かされたのだろうか?

「ヤマタノオロチの事だ」

「あっ・・・」

クシナダは言葉に詰まり、そして恥ずかしさのあまり俯いた。

(スサノオノミコトはわたくしを心配をして声を掛けてくれたというのに、何を考えているのだろう・・・。それにこの方はわたくしの為に命を賭けてくれるというのに)

クシナダは申し訳なさで一杯になり顔を上げる事が出来なかった。


スサノオは再び前を向くと少し間を空け、それからまた言葉を続けた。

「明日だと思う」

「えっ?」

「明日、奴は現れると思う」

「明日・・・」

何故・・・とクシナダは問いかけたが、ふと思い出し口をつぐんだ。

スサノオは出逢ったその日からヤマタノオロチの出現した時の星の位置、太陽の位置、川の流れなど、様々な事を聞いてきた。

そして日が暮れると星を読み、日が昇ると太陽の位置を確認し、そして川の流れを読み、風の匂いを嗅いでいた。

(わたくしには分からぬ事も高天原のこのお方には分かるのだろう。余計な事を聞いて煩わせてはいけない・・・)

「そうですか・・・」

ついにその日がやって来たのだ。

しかし、とクシナダは思う。

(わたくしは死の到来を感じてはいない・・・)

この大男が現れるまで、クシナダは物心がついた頃からずっと諦めていた。

姉がひとりふたりと消えていき自分の死の順番が静かに、そして確実にやって来るのを感じる度に、生きる事を諦めていった。

生きる事を諦めるという事はその他のすべての事も諦めるという事だ。

クシナダはただ生きていたのだ。

ヤマタノオロチに喰われる為に生きていたのだ。

だがこの大男が現れてからというもの、この大男の言動に時に驚き、時に笑い、そしてこの大男に惹かれていった。

クシナダは生まれて初めて生きる事への希望を見出したのだ。

だが、その為にスサノオは己の命を掛ける事となった。

そしてクシナダは思うのだ。

「スサノオノミコトは後悔されていませんか?」

「ん?」

「ヤマタノオロチの退治など・・・、見知らぬおなごの為に命を賭けるなど無謀ではありませんか?」

クシナダは続けた。

「スサノオノミコトはなに故ヤマタノオロチを退治しようと思われたのですか?」

「ほら、出来た」

スサノオは作業をしていた手を止めそう呟くと丸めていた背中を起こし、クシナダと向かい合う様に座りなおした。



明日も続きます。


*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*


それでは本日も良い1日を〜。

スーさん「自分が自分自身の守護になったつもりで行動出来ているだろうか?」



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Commented by isao at 2016-01-22 16:58 x
なんだか、スサノオとクシナダがとても良い雰囲気で
早くこの先が読みたい気分で一杯です!
Commented by garoumusica at 2016-01-22 18:47
> isaoさん コメントありがとうございます。

数日文字にして良いのか迷ったので、そう言ってもらえてホッとしました( ; ; )
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by garoumusica | 2016-01-22 05:00 | 稲田姫物語 | Comments(2)

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