稲田姫物語 オロチ退治前日の話 その2。

本日も昨日の記事の続きです。





「スサノオノミコトは何故ヤマタノオロチを退治しようと思われたのですか?」

「ほら、出来た」

スサノオは作業をしていた手を止めそう呟くと、丸めていた背中を起こし、クシナダと向かい合う様に座りなおした。

それから右の拳をクシナダの前に差し出し、小さく、

「ん」

とだけ言った。

クシナダは反射的に両手をスサノオの拳の下に添えた。

するとスサノオはクシナダの両手の下に更に左手を添え、一瞬クシナダの手を包み込むと素早く手を離し、プイと横を向いた。

(・・・?)

クシナダはスサノオによって閉じられた両の手をそっと開き、その中に残された物を見ると、思わず笑みをこぼし声を上げた。

「わぁ!美しい薄紅の玉・・・。これをわたくしに?」

「うむ」

スサノオは横目でクシナダをチラリと見、ぶっきらぼうに答えた。

クシナダの手の中に残された物、それは細く紡いだ麻の紐の先に、透き通った薄紅色の玉を不器用に結び付けただけの粗末な首飾りだった。

クシナダは美しく輝く薄紅の玉を右手の親指と人差し指でつまみ、光に透かした。

そして玉の向こうにこちらを見ながら満足そうに微笑むスサノオの姿を見遣った。

「ありがとう、スサノオノミコト・・・。わたくし、この様な美しい玉を見るのは初めてです」

これまでどこか憂いを秘めていたその瞳は今やキラキラと輝きを放ち、そして頬を赤らめながら満面の笑みを浮かべるクシナダを、スサノオは眩しそうに目を細めて見ていた。

「この玉はどうされたのですか?」

「禊をした時に川の底で見つけたのだ」

「まぁ!川に潜られたのですか?」

「ん?ハハハ・・・」

(川の底で拾った石ころごときでこんなにも喜んでもらえるとは・・・)

スサノオは笑みを浮かべながら手を様々な方向に傾け、様々な角度から玉を眺めているクシナダを見つめ、胸の奥に何か暖かいものが広がっていくのを感じていた。

だがその反面、胸に鋭い刃を突き立てられたかの様な痛みをも覚えていた。

そして己の不甲斐なさを恥じた。

今のスサノオには妻となるおなごを飾り立てる美しい装飾品を得られるだけの財産が無かった。

唯一贈る事が出来たのが、川底で見つけた石ころで作ったこの粗末な首飾りだけだった。

(それでもこのおなごは喜んでくれてはいるが・・・)

スサノオはこの時初めて己の過去の言動を心底悔やんだ。



スサノオは高天原を追放される際に財産を全て取り上げられていた。

更に髭はそり落とされ、手足の爪も剥がされた。

スサノオに許されたのはふたつだけ。

粗末な服と愛用の剣。

本来ならば剣も取り上げられる予定であったが、姉であるアマテラスの恩赦により免れた。

そしてその時に姉からこう言われた。



お前はその剣で多くの者を殺めた。

そしてその殺めた者の血を、その時の恐怖の念を、その剣は記憶している。

お前をこの後葦原中つ国に追放する。

本来ならばこの剣も没収するところだが、お前は剣を持って葦原中つ国に降りよ。

そしてその地で今度は人を殺める為でなく人を守る為にその剣を用いよ。

良いか?

殺める為でなく守る為に用いるのだ。

そしてその時、お前は初めて過去の己の行いを悔やみ、反省する事となるだろう。



スサノオは傍に置いた剣にそっと触れた。

(殺める為でなく守る為に剣を握る。ついにその時が来たのだ・・・)

神妙な顔をし剣に触れるスサノオに気がついたクシナダはおずおずと声を掛けた。

「スサノオノミコト・・・」

「ん?」

「いかがなさいました?」

スサノオは小首をかしげながら己を見上げるクシナダに微笑みかけた。

「どれ、着けてあげよう。後ろを向いてごらん」

「はい」

クシナダは輝く瞳でスサノオを見つめ首飾りを渡すと、そのまま目線を離さずに笑みを浮かべながら首をかしげ、流れるような手つきで美しい黒髪を片側に束ねた。

そして流し目を残しながらくるりと背を向けると、スサノオに向かってその白いうなじを露わにした。



クシナダは己の首にあの美しい玉の首飾りがスサノオの手によって着けられるのを、はやる気持ちを抑えながら今か今かと待ち続けた。

しかし、いつまで経ってもスサノオの動く気配は感じられなかった・・・。

少々疑問を抱きつつもその姿勢のまま動かずにいると、

「まいったな、これは・・・」

と、呟くスサノオの声が背後から聞こえてきた。

何事かと思いスサノオを振り返ると、この大男は口元を片手で隠し、顔を耳まで紅潮させて横を向いているではないか。



明日も続きます。


テイッ>(´ノ・ω・`)ノ・‥…━━━★゚+.・‥…━━━★゚+.・‥…━━━★゚+


それでは本日も良い一日を~。

musica 「ねぇスーさん、一体私は何を書いているのですか?何このデレデレ話」

スーさん 「これかい?先日君が桜の君で学ぶ事が出来なかっただろう?あの替わりだ」

m 「はい?」

ス 「君は桜の君と密やかな愛情のやり取りをする事が出来なかった。その為に仕方がない、我々が一肌脱いだのだ」

m 「仕方がない~?結構ノリノリじゃないですか~wwwで?これはフィクション?ノンフィクション?」

ス 「好きなように取りなさい。どうせ真実を知る者はいないのだから」

m 「また適当な・・・」

ス 「大切なのは君が何を学ぶかだよ」




本日の本館で以前スーさんのブレスレットに使ったのと同じヌーマイトを特集しました。


カメラ越しに見るとものすごく素敵な石でした・・・。

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Commented by あき at 2016-01-23 08:55 x
朝っぱらからごちそうさまです\(//∇//)\
キュンキュン♡もんじゃないですか〜ニヤニヤしてしまいました。
早く続きを読みたいです。
Commented by isao at 2016-01-23 12:51 x
スサノオの猛々しさしか想像できていなかったので
このなんとも初々しい二人のやり取りに
うっとりしてしまいます。この続きが楽しみ♪
Commented by とーり。 at 2016-01-23 13:14 x
こ、これは漫画で読みたい。。
決して直接的な表現があるわけではないですが、、なんだかドキドキしちゃいます(。-_-。)
Commented by garoumusica at 2016-01-23 21:26
> あきさん コメントありがとうございます。

本当にあの人達ラブラブですよねw
こんなのダウンロードされる身にもなって欲しいというか・・・(´・_・`)
Commented by garoumusica at 2016-01-23 21:29
> isaoさん コメントありがとうございます。

私は逆にスーさんの猛々しさが想像出来ないところがあるかもです(´・_・`)
その違いが面白いですねぇw
頑張ってなんとか文字にしてみます。
Commented by garoumusica at 2016-01-23 21:32
> とーり。さん コメントありがとうございます。

漫画ですか。脳内映像を視覚化出来る道具があれば1番良いのですけどねぇ(・Д・)ノ
おっさんsならではのちょっと古臭い表現もポイントです。
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by garoumusica | 2016-01-23 05:00 | 稲田姫物語 | Comments(6)

目に見えない厳ついおっさんと絵描きの会話。それから大変申し訳ありませんが、本サイト内の画像、写真の無断転載・転用を禁止させていただいております。


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