稲田姫物語 高天原編 オロチ退治前日の話 その14。

本日も稲田姫物語の続きです。

真面目な内容ではありますがいつもよりもエロに関する表現を多く含みますので、苦手意識をお持ちの方はここでソッ閉じしてください。




「そしてこの愚弟めが、如何なる時も姉上をお護り致しましょう」

その言葉を聞いた瞬間、アマテラスは太陽神という名に相応しい晴れやかな笑みを浮かべた。

そしてツクヨミの頭を荒く撫で回した。

「お前は私の可愛い弟だ、ツクヨミ」

ツクヨミはアマテラスにされるがままだった。

自慢の黒髪が乱れるのも構わず、アマテラスのその晴れやかな笑顔に見惚れていた。

姉のこの様な笑顔を見たのは何時振りだろうか?

この笑顔を見る事が出来るのならば己の持つすべての財宝を投げ出しても構わない、そんな心境だった。

しかし、先程アマテラスに指示された事をふと思い出した。

(今、姉上のお役に立つ事と言えば、あの女を落として交わる事)

ツクヨミは思わず苦笑いをした。

(これが因果というものか・・・)

この世に生を受けて以来初めて己の力で護りたいと思ったおなごは、不可触の女神である実の姉。

そしてその女神に命じられたのは、他のおなごと交わる事。

(己の過去の行いの報いなるものは、何と惨い訪れ方をする・・・)

高天原の三貴神であるツクヨミでさえも、世の普遍の真理の前ではただただ嘆き、ひれ伏すしかなかった。



ツクヨミの頭を思う存分撫で回したアマテラスは、先程の女官が持って来た菓子を摘んでいた。

「お前も食べるか?」

ツクヨミは己の心の内を隠す様に、勧められた菓子を無理矢理ひとつ口の中に放り込んだ。

それは果実を干した甘い菓子であった。

口の中に甘みが拡がっていくのを感じながら、己の中の話題を変える為にアマテラスに話題を振った。

「姉上、今後はどうなさるおつもりですか?太陽神は続けられるのです?」

「まぁな・・・。スサノオが心より太陽神としての務めを果たすと決意するまでは、私がその代理を果たさねばなるまい」

ツクヨミはその重圧から解放してやりたい一心で問うた。

「スサノオにオロチ退治が済めば、クシナダ姫を伴って高天原に戻る様に勧めては如何です?」

「あやつはあの地をクシナダに見せてやりたいと言っておったではないか」

アマテラスは笑いながら言う。

そしてその笑みを消すと溜息をひとつ吐き、声を低めて言った。

「・・・あのおなごは本来であれば明日で命を失う運命(さだめ)であった」

ツクヨミはその言葉に何か不吉なものを感じた。

だがそれをかき消すかの様に明るい声で言う。

「ですが、ヤマタノオロチはスサノオが退治出来るのでしょう?それによってクシナダ姫の運命もまた変わりましょう」

「そうだ、スサノオがクシナダの運命を変える。・・・まぁ、私が仕組んだ事ではあるのだが」

アマテラスは自嘲気味に笑う。

そしてその柳眉を寄せると、再び言葉を続けた。

「しかし、人の運命というものはそう簡単にはいかぬ。特に人の生死に関するものは・・・」



「そんな・・・」

ツクヨミは絶句した。

それではスサノオが永遠の守護を誓った相手の命は、結局はその運命の下に失われてしまうと言うのか・・・。

ツクヨミはアマテラスに問う。

「スサノオはこの事を知っているのでしょうか?」

「いや・・・、お前も見たであろう?あの惚け具合を」

「あぁ・・・」

ツクヨミは先程までスサノオが映っていた銅鏡を見やる。

その銅鏡に映し出されたスサノオの顔には、クシナダと共に生きる事への喜びに満ち溢れていた。

「知らせてやらなくても良いのですか?」

「今は明日のオロチ退治に集中する事が肝要。話はその後だ」

「それはそうですが・・・」

「あの男もただのうつけではない。落ち着いてクシナダの気を見ればすぐに気がつこう」



ツクヨミはスサノオの血にまみれた手と手をしっかりと繋ぎ、こちらを見つめていたクシナダの健気な姿を思い出していた。

なんと辛い運命の下に生まれたおなごであろうか・・・。

「何とかならぬものですかな・・・」

「方法が無い訳ではない」

「本当にございますか?」

ツクヨミの声に喜びの色が混じる。

「あぁ・・・。ただそれがどこまで有効なのかどうかは、実際に試してみなければ分からぬ」

「どうすれば良いのでしょう?スサノオに知らせてやらねば」

ツクヨミはアマテラスを急かした。

アマテラスは笑いながら答える。

「あの二人が交われば良いのだ」

「は?」

ツクヨミは口をポカンと開けた。

(交わる?)

この様な一大事に、この姉は一体何を言っているのか・・・。

ツクヨミはアマテラスの言葉を待った。

「クシナダの命の素が足りぬなら、スサノオから命の素をクシナダのその身に直接入れてやれば良い」

「命の素・・・」

ツクヨミはすぐに察したが、高天原で最も美しい女人の前でその名を口にするのは、少々憚られた。

だがアマテラスはツクヨミの心を知ってか知らでか、あっさりとその名を口にする。

「スサノオの子種だ」



ツクヨミは頭を抱えた。

「姉上?少しは恥じらってくださいませ・・・」

アマテラスは恥じらう様子も無く言う。

「なに故恥じらわねばならぬのだ」

そして少々呆れた調子で言う。

「本来まぐわいというものは、心を通わせ合う者達が新たな命を創り上げるという、ひとつの崇高なる目的の為に行うものだ。お前は快楽だけを追求し本来の目的を忘れているかもしれぬがの、ツクヨミ?」

ツクヨミは軽く咳払いをした。

アマテラスは冷ややかな目をツクヨミに向ける。

「子種はその名の通り子を成す為の、新しき命を創造する為の種だ。その種が纏う気の力は計り知れぬ。ましてや本来ならば太陽神として君臨する筈の男の子種だ。その力は言うに及ばぬ」

「子種の纏う気、ですか・・・」

「その力をクシナダの体内にある新たな命を育む場に送り込む事により、クシナダの体内に直接スサノオの命を分け与える事が出来る」

「と言う事は、クシナダ姫はスサノオと交われば交わる程、その寿命が長くなるという事ですかな?」

「それは分からぬ」

「あら・・・」

ツクヨミは少々拍子抜けをした。

「前例が無いからな・・・。スサノオの子種の持つ気の力と、クシナダのスサノオのその気への順応力に賭けるしかあるまい」

「そうですな・・・」

「だが望みが無い訳ではない。お前も見た通り、あの二人はほんの僅かな期間のうちに見事に心を通わせ合った。あの二人の気の順応力は言うに及ばぬ」

ツクヨミは二人の見せた絆の強さを思い出した。



アマテラスは続ける。

「しかし、クシナダは葦原中国の者だ。元々我々とは寿命が違う」

「我々は長寿ですからな・・・」

「うむ。うまく命が長らえたとしてもスサノオと共に過ごせるのは数十年だろう」

「たったそれだけにございますか・・・」

ツクヨミはその寿命の短さに絶句した。

高天原の者達の一生とは余りにもかけ離れている。

数十年など高天原の者のほんの僅かな瞬きの間に終わってしまう・・・。

「これからスサノオは葦原中国で生きて行くにあたり、様々な事を学んでいくだろう。クシナダの国を支え、守り、場合によっては拡大し・・・。そしてクシナダと共に生き、そして子を成し育んでいくうちに一人の男として成長していくであろう」

「姫君の命の素がスサノオの子種であれば、それはそれは子沢山になりましょうな」

「ハハハ!」

アマテラスは一笑するとすぐさまその笑みを消した。

「そしてスサノオにとって最大の学びとなるのが、クシナダの死であろう」


なんと!今日もお・わ・ら・な・か・っ・たーーー・・・、です。

明日も続きます。


☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆


musica 「下ネタでしたねぇ・・・」

スーさん 「命の話をしておったのだ」

m 「絵に描くのを憚られると言うか・・・。子種かぁ・・・(´・ω・`)」

ス 「絵に描くべき場面は他にもあるだろう・・・ヽ(´o`;」


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by garoumusica | 2016-02-16 05:00 | 稲田姫物語 | Comments(0)

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