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今日こそはスーさんに聞いてみます。



musica 「スーさんスーさん、結局スーさんは太陽神になったのですか?」

スーさん 「いきなり来たね・・・。君はどう思うかね?」

m 「あ、その前に、質問がちょっとおかしかったかもです。あのお話の中では元々太陽神なんですよね?」

ス 「そうだね」

m 「でも、性格に難があったのでそれが治るまでは海神をさせた、と」

ス 「また酷い言い方だね・・・。あの話ではそうだね」

m 「でも私の接するスーさんはずっと海神として接してくれてました」

ス 「初めての贈り物も海にちなんだ真珠だった」

m 「それを考えるとやっぱ海かって思うのですが、なんせスーさんの光の色が初めから夕方の陽の光の色だったので・・・」

ス 「君としては太陽神と言うのも、さもありなんと考えるのだね」

m 「さもありなん。でも海神だろうと太陽神だろうと、ここにいるスーさんは変わらない訳ですから、私としてはどっちでも良い話ではあります」

ス 「その通りだね。今ここにいる私はこの物語を信じろとは言わない。でも何か響くものがあれば、そう感じた自分を信じて欲しい」

m 「結局は何も変わらない?」

ス 「でもその可能性を知ってしまった以上、以前とは同じではない。だろう?」

m 「そうですね。スーさん≒アマテルにぃちゃんなんて考えた事なかったですから」

ス 「あぁ、君はあっさりとその名を出す・・・」

m 「え、だって言われなくても、これだろって分かるじゃないですか」

ス 「趣の無い・・・」

m 「これってスーさんが細分化したものが、人格を持ってるって事ですか?」

ス 「神とは元々ひとつだろう。それが人の求めに応じて細分化した、と言うのが大筋の流れだ」

m 「え、待って。今すごい飛ばしましたよね」

ス 「左右の目から生まれたとされるアマテラスとツクヨミも、陰と陽として考えれば一体化出来よう?」

m 「陰と陽が調和するって意味でしたら分かるかもですけど・・・」

ス 「女性性を司る左(の目)から生まれたのがアマテラス、男性性を司る右(の目)から生まれたのがツクヨミ。それら陰陽が調和して力を発揮するのが第三の目」

m 「あの物語では端に生れたのがスーさんって事になってましたよね?」

ス 「そう、端=鼻の言葉遊びだった。一番初めに第三の目から生まれたのがスサノオ。アマテラスとツクヨミが中央にあるものを支えると、話にも出て来たはずだ」→稲田姫物語 高天原編 オロチ退治前日の話 その9。

m 「またなんか新しいキーワードが・・・」

ス 「つまり三貴神と言うのは調和の象徴」

m 「それって三位一体的なアレですか?今度はキリスト教か・・・。なんだかこんがらがって来ました」


oooooo゚Д゚ooooo゚Д゚ooooo


それでは本日も良い一日を~。

スーさん 「今日は一週間の締め括りだ。手元をおろそかにしないようにね」



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by garoumusica | 2016-02-19 05:00 | 稲田姫物語 | Comments(2)
今日はなんだかよく分からないうちに始まって、ダラダラと続いた稲田姫物語について振り返ってみます。



スーさん×稲ちゃん編は以前記事に書いたのですが(→稲田姫物語 スーさんへの愚痴と太陽の石。)、ベッドで寝転んで白檀の匂いを嗅いでいた時に一気にダウンロードされたものです。

パソコンで言えばフォルダーを一個渡されたとか、DVDを一枚渡された、とかそんな感じです。

大まかな流れは分かるんだけど、細かい所は見てみないと分かりません。

なので毎日ちょっとずつ文字に直していく過程で、初めて知る内容とか多かったです。



一方の高天原編は、稲ちゃんの物語の終わる二日前くらいに最後のアマテラねぇちゃんの演説?部分がダウンロードされまして。

なので1〜2日で終わるだろうと思っていたのですが、いざ書き始めたらいきなり内容の変更。

更には先の内容が分からないという状態で進んで行ったのです。



文字に直していくうちに、よくもまぁこんなの考えたもんだ、という内容もありました。

特にスーさん=太陽神とした所とか。

ちなみに、太陽神はダウンロードされた時には日神という呼び方でしたが、日神って私的にあんまり馴染みがなかったので、太陽神と書きました。



あと、スーさんの名前の由来の所で守り名、と書きましたが、イメージ的には捨て名の方が近い気がします。

あまり好ましくない性質を名前につけることで、その性質の力を弱めてしまおうという考えの様でした。

諱、忌み名とも意味が違う感じがしますし・・・。

これはちょっと知識不足でよく分かりません(´・ω・`)。

何かご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教授お願いします。



同じくスーさんの名前の所ですが、スサノオのスサってずっと「荒ぶ(すさぶ)」だと思っていたのですが、「凄まじ(すさまじ)」に訂正されました。

古語辞典引いてみなさいよ、と。

以前ブックオフで200円で買わされた古語辞典を引いてみると、ネットなどでスーさんの名前の解説で見かける、荒々しいという意味で使われている「荒ぶ(すさぶ)」と言う言葉は、古語では思いのままに事を行う、盛んな勢いで事が起こる、風が時折吹く、という感じでした。

今使われている荒々しいという意味の「荒ぶ」は、「荒ぶ(あらぶ)」という読み方。

なので、現代の感覚でその漢字をスサノオの意味に当てはめるのは間違いなのだと。

一方の「凄まじ」は、第一の意味にはその場にそぐわず興ざめる、とかなのですが、スーさんの名前に込めた意味は物凄い、荒涼としている、甚だしいとかの様です。

まぁ、うちのおっさんが言う事なので、そういう事もあるかもね程度に捉えるのがちょうど良いのかなと思っています。



それからおかしな話なのですが、2日くらい前にひと月以上外出していない事に気がつきました。

何を言っているのかよく分からないかもしれませんが、自分でひと月以上外出していなかった事に気がついていなかったのです。

妙に予定が中止になるなぁとは思っていましたが・・・。

昨日の稲田姫物語を書き終えた日が丁度通院日だったので、久し振りに外出をしてきました。

と言うよりも、この日ばかりは予定を変更する事が出来ないから、絶対今日書き終えろ!との事だったので、2話分の長さを一気に記事にしました。

それはどういう事かと言いますと、たとえパラレルワールドの物語であってもスーさん=太陽神などと言う事を不快に思う人達もいらっしゃるようで、そういう人達の対策を上では色々とされていた様なのです。

確かに太陽神について書いた時は、家の外壁がすごい音を立ててました。

なので超過保護なスーさんは、念には念をで書き終えるまでは家から出すまいという事だった様です。

他にも守護さん(白い子犬)が追加されたりw

そして昨日も、まず始めにスーさんが主祭神の神社を参拝させるという念の入れよう。

色々あるんですね・・・。

今回の様に上の人達を題材にした絵とか文章を書いたり、何かを造ったりする人ってプロでもアマでも沢山いらっしゃいますけど、皆さん大変なんだなーって改めて思いました。

まぁ、本人に至っては全然気が付かないものなのです(´・_・`)



今日はスーさんにお話を聞こうと思いましたが、久々の外出で疲れてしまいチョコを爆食いしたら胃がもたれてしまい、それどころではなくなってしまったので、また明日という事で・・・。

なんだか文章も支離滅裂・・・。

まぁ、そういう事もあるって☆ドンマイ!


☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡


それでは本日も良い一日を!

スーさん 「世の中には君達が知らなくても良い事がごまんとある。だが、君達が知るべき事は必ず開示されるからその時を待ちなさい」



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by garoumusica | 2016-02-18 05:00 | 稲田姫物語 | Comments(5)
今日でラストです!

そしておおいに更新が遅れました、すみません・・・(´・ω・`)。




「そしてスサノオにとって最大の学びとなるのが、クシナダの死であろう」

「姫君の死・・・」

ツクヨミは思わず声を潜めた。

「そうだ。クシナダは自らの死によって、スサノオに最大の試練と学びを与える事となる。そしてその試練と学びは、スサノオにとって耐えられぬ苦しみとなるであろう・・・」

「・・・」

「しかし、それはまたスサノオの太陽神として人々の前に君臨するにあたり、重要な経験となる」

「重要な経験・・・」

「私は葦原中国に留まると言うのならば、その地でしか学べぬ事をしっかりと学んで欲しい。太陽はこの高天原を照らすだけでは無い。葦原中国をも照らす。葦原中国に住まう者達と同じ高さに立ち、同じ目線で物事を考え、同じ様に苦しみ、その生涯を理解し、慈しむ事は、太陽神として大切な事だ」

「あの子は耐えられますかな・・・」

「その試練に耐え切れず逃げ出すならば、それもまた良かろう。その間にも学ぶ事がある。思う存分学ぶが良い。スサノオが復活するまで何十年でも何百年でも、この私が留守を守ってやる」

ツクヨミはスサノオに対するアマテラスの深い愛情に舌を巻いた。

「及ばずながら小生も手伝わさせていただきますぞ」

アマテラスは大きく頷くと、二人はしばらく見つめ合った。



そしてツクヨミが口を開く。

「クシナダ姫がお亡くなりになればスサノオは高天原に戻るのでしょうか」

「どうであろうな。あの父上の子だ、クシナダを追いかけて黄泉の国まで行くやもしれぬ」

「ハハハ!あの父にしてこの子有りですな。しかしスサノオならば変わり果てたクシナダ姫であっても、迷いなく抱きしめましょうぞ」

「そうかもしれぬな。・・・だがクシナダは葦原中国の者だ。その死後の実態は我らとは違う」

「違う?」

「そうだ。我々高天原の者は死後も生前の我々のままだ。イザナミがそうであろう?」

「身体は朽ち果てられましたけど、イザナミはイザナミであらせられますな」

それが一体何なのか、ツクヨミにはアマテラスの意図するところが理解出来なかった。

「だが葦原中国の者達は、死後に全く別の人物として新しい生を受ける」

「別の人物・・・?」

「しかもその前の生の記憶は無い。故に新しい生を受けたクシナダにスサノオが会いに行ったとしても、クシナダはスサノオの事を覚えてはおらぬ」

「そんな・・・」

ツクヨミは絶句をした。

葦原中国と高天原では死後の世界も違うというのか・・・。

「だからスサノオは姿形・性格の全く違うクシナダと、新たな関係を築かねばならない。だがその状態であってもクシナダを得ようとするならば、それはもはや、ただの執着に過ぎぬ」

「・・・」

「スサノオがクシナダとしての記憶のあるクシナダに逢えるとしたら、転生と転生の合間だ」

「転生の合間ですか」

「転生の合間の御魂の状態であれば、クシナダの御魂はすべての生の記憶を把握している。故にクシナダとしてスサノオと意思疎通も出来よう」

「ですがクシナダ姫のみが御魂であるならば・・・」

「スサノオのその身をもって触れ合う事は、もう二度と叶わぬ。スサノオも御魂のみの状態となれば御魂同士の融合は叶うだろうがな」

「難しいものですな・・・」

「元々スサノオとクシナダは生きて行く場所が違う者同士なのだ。今回あの二人が巡り逢い、心を通わせた事自体が奇跡なのだ。まぁ私が仕組んだのだが」

アマテラスは苦笑いをする。

「心を通わせた事を姉上が奇跡と言われるのは、ここまであの二人が意気投合するとは思っていらっしゃらなかったと?」

「そうだ。そしてここまでスサノオが改心するとも思っていなかった。私の目的はオロチに隠されし剣だけであったからな」

「なるほど・・・」

「だからあの二人は共に生きる事の出来るごくわずかな時間を、大切に慈しんで生きて欲しい」

「そうですなぁ・・・」

二人はスサノオとクシナダを映していた銅鏡を見つめた。



そして再びアマテラスが口を開いた。

「しかし、スサノオがクシナダの死後その後をすぐ追うようでは、それは首長の婿としていかがなものだろうか?」

「それは立場故、と仰りたいのですか?」

「そうだ。クシナダと共に葦原中国で営む間にスサノオは否応無しに様々な責任を負おう。クシナダの国の首長となっておるやもしれぬ。更には国を拡大しておるやもしれぬ。そうなればクシナダ以外にも女を娶る事もあろう。故に無責任にクシナダの後を追う事は許されぬ」

「追いたいのは山々でしょうなぁ・・・」

「もしもそれをしてしまうと言うのなら、スサノオには太陽神として君臨する資格は無い。太陽神は皆に多大な影響を与える故、無責任にその役目を離れる訳にはいかぬからな」

「・・・」

ツクヨミはアマテラスの岩戸隠れを思い出した。

「あー・・・、あれは作戦だ」

目線をそらしながら言うアマテラスに、ツクヨミは慌てて言葉を返した。

「分かっておりますよ!・・・ですがまぁ、我らの父はあっさりと追いかけましたがね!」

アマテラスは感情の篭っていない笑いを上げて言った。

「ハハハ!あの無責任な父には似つかわしい行動だ」

ツクヨミは咳払いをして言う。

「姉上、我らの父でありますぞ」

するとアマテラスは顔を歪めながら声を荒げて言う。

「ハッ!私にかような重圧を押し付けておきながら、己は引き篭もって悠々自適な生活を送っている輩だぞ?アレは!」

「アレ・・・」

「あの親父、戻って来たらただでは済まさぬぞ・・・」

アマテラスはそのたおやかなる手の関節をボキボキと鳴らしながら言った。

触らぬ神に祟りなし。

ツクヨミはアマテラスの怒りが収まるのを静かに待つ事にした。



アマテラスの機嫌が直るのを待つ間、ツクヨミは葦原中国の二人のことを考えていた。

そして思わず不気味な笑いを溢してしまった。

「フフフ・・・」

「なんだ?ツクヨミ。気でも触れたか?」

唐突なツクヨミの笑いにアマテラスは怪訝な顔をした。

「いえ、スサノオがどの様にして子種の仕込みまで持って行くかと思いましてね」

「またお前は下衆な事を・・・」

アマテラスは呆れた様子で言う。

ツクヨミは銅鏡を見つめる。

「あの姫君は清浄の下に育てられました故、男女の交わりに関する理も何も教わっていないでしょう」

「ツクヨミ、もう止めよ」

アマテラスは顔の前で手を横に払うと、不機嫌そうに顔を背けた。

ツクヨミは手を顎の下に添えながら言う。

「今日は・・・、手を出さぬでしょうな」

アマテラスは鼻で笑う。

「お前だったら既に手を出しておるだろうな」

ツクヨミは頷きながら言う。

「善は急げですからね。明日は、葦原中国の者達と飲めや歌えの大騒ぎでしょう」

アマテラスはツクヨミを見ながらニヤリと笑う。

「お前だったら抜け出して致すところだな」

ツクヨミは生真面目な表情を浮かべる。

「勿論ですよ。三日目にしてようやく周りの者の御前立てもあり、褥を共にするかもしれませんが、まぁスサノオは手は出せまい」

「お前の言った言葉故だろう?可哀想に・・・」

アマテラスは頭を横に振る。

ツクヨミはアマテラスの言葉を聞かなかった事にして続けた。

「四日目にしてスサノオは、クシナダ姫の運命について気がつくかもしれません。なんとかして己の気を与えようとするかもしれませんな。だが子種には辿り着けまい」

「お前は本当に物好きだな。その様な妄想はよせ・・・」

アマテラスは眉間を寄せた。

「そして五日目!ようやく子種に辿り着くスサノオ。だが、己の中で葛藤をする」

「『私の穢れた身でこの清らかなる姫に触れて良いものか・・・』」

アマテラスはついついスサノオの口調を真似て言ってしまった。

ツクヨミはそのアマテラスの言葉に目を細めながら言う。

「じれったいですなぁ・・・。そして六日目。日に日に生命力の衰えていく姫君を目の当たりにし、心を決める!」

「だがクシナダは交わりについて何も知らぬであろうからなぁ」

ツクヨミは溜息を吐きながら言った。

「私が指南して差し上げたいくらいですな・・・」

「余計な世話だな」

「そして運命の七日目・・・」

アマテラスはツクヨミの顎をその麗しい指で掬いながら、スサノオの口調を真似て言う。

「『姫君・・・、本来であれば私のこの様な穢れた身で、貴女の清らかなる御身に触れる事は許されぬ・・・』」

ツクヨミが裏声で答える。

「『スサノオノミコト・・・』」

スとサの間を言い淀む事も忘れていない。

アマテラスは柳眉を寄せ、苦しみに耐えるかの様な表情を浮かべながら続ける。

「『だが、貴女の命を永らえさせる為にはこれしか思い浮かばぬのだ・・・。許してくだされ、姫君・・・』」

「『あ・・・』」

アマテラスとツクヨミは生真面目な顔をして、しばし見つめ合った。

そして二人が吹き出しそうになった瞬間、戸口から女達の歓喜の色を帯びた黄色い声が上がった。

二人はアマテラスが顎を掬ったままの姿勢で戸口を見やる。

すると女官達が顔を手で覆ったり、真っ赤に染めた状態でこちらを見ているではないか・・・。

どうやら女官達は新しいお茶を持って行く時機を計っていたのだが、アマテラスがまるで男の様にツクヨミの顎を掬い見つめ合うという場面に思いがけず出くわしてしまい、その麗しい姿に思わず歓喜の声を上げてしまった様だ。

女官達の憧れの存在であるアマテラスとその弟君の、男女逆転の艶めかしい様子だ。

それはひとつの事件だった。

この件は長く語り継がれる事となろう。

未だにその歓喜の声は収まらぬ様子だ。

「なんだか小鳥達が枝に集い、さえずり合っているかの様で微笑ましいですな」

「ハハハ、あの者達の笑い声にいつも癒されておるわ。見よ、あの者達のおかげで我が屋敷は清浄に包まれておる」

アマテラスは我が屋敷を見回し、満足そうに言う。

「は〜・・・、私もあの小鳥達にこの身の果実をついばんで貰いたいものですな・・・アイタッ!」

アマテラスの妖術がツクヨミの後頭部を直撃した。



二人は再び向かい合って茶を飲み始めた。

「お、オモイカネがようやく『眼』を探すのを諦めて、皆へ説明を始めたようだぞ」

アマテラスがオモイカネの行動を察知した様だ。

妖術により高天原の者達が会議を始めると、自動的にその内容がアマテラスの耳に届く様に仕掛けてあった。

もちろんこの事を知っているのはツクヨミだけだ。

皆に知られると萎縮して本音を吐かなくなり、正確な情報を得る事が出来なくなるから、というのがアマテラスの弁だ。

「皆、納得してくれますかね?」

「納得しなければ納得させれば良いだけの事。言ったであろう?異論は許さぬと」

この様な発言が許されるのも、アマテラスが皆に愛されているからに他ならない。

「それで、今はどの様な塩梅ですか?」

「うむ、オモイカネが思いがけず良い働きをしておる。この様子では異論も出まい」

「それは良うございましたなぁ」

『アマテラスオオミカミ・・・』

オモイカネがアマテラスに話し掛けてきた。

アマテラスはその姿を銅鏡に映す。

「どうだ?」

アマテラスは素知らぬ振りをして問う。

『はい、皆スサノオノミコトの処罰撤回と名誉回復に賛成してくれました』

「そうか。オモイカネよ、良くやってくれた」

アマテラスは満足そうな笑みを浮かべた。

『勿体無いお言葉にございます』

オモイカネは銅鏡の向こうで頭を垂れる。

「この度お前には本当に力になって貰った・・・。なんと礼を言えば良いのやら・・・」

アマテラスは声を詰まらせる振りをした。

『そんな・・・、滅相もございません。これからもアマテラスオオミカミの力になれる様、及ばずながら尽力いたす所存にございます』

「ありがとう、オモイカネ・・・」

アマテラスはオモイカネとの繋がりを断つと、ツクヨミに向かって微笑みながら片目を瞑って見せた。

ツクヨミはアマテラスの滅多に見せない愛らしい様子に、思わず笑みを漏らさずにはいられなかった。



「姉上、おめでとうございます」

「うむ」

アマテラスは満足そうにツクヨミに頷いて見せると、高天原の者達全てに届く様に、その声を術に乗せて話し始めた。

「高天原に住まう者達に告ぐ!」

アマテラスの凛とした声が、高天原中に響き渡る。

「長き間、我が愚弟・スサノオの蛮行により、皆に多大なる迷惑を掛けた事、姉として心よりお詫び申し上げる」

アマテラスは眼を閉じ、ひととき間を置いた。

ツクヨミはその姿を横で見守っている。

「だが、この度葦原中国にて苦行を重ねたスサノオは、遂に心の底より改心するに至った。これは偏に皆のお力添えをいただいたお蔭・・・。重ねて、心より感謝申し上げる」

アマテラスは皆には見える訳ではなかったが、深々とお辞儀をした。

それに倣い、ツクヨミも深くお辞儀をした。

「さて、葦原中国にてスサノオの改心に多大なる力添えをしていただいた姫君には、その褒美として没収したスサノオの財産をすべて与える事とした。異論は許さぬ!」

ツクヨミはその言葉に思わず笑みを漏らさずにはいられなかった。

「そして重ねて申し上げる。私事で恐縮だが、この度この姫君とスサノオの婚姻が決まった」

この瞬間、屋敷内外から悲鳴が上がった。

恐らくスサノオの高天原の追放の際のその色気に当てられてしまった者達であろう。

アマテラスは思わず笑みを溢した。

「故に皆に迷惑を掛けたお詫びも兼ねて、ささやかではあるが、明日(みょうじつ)宵の口より我が屋敷にて祝いの宴を開催したいと思う。我が蔵の酒と食糧はすべて出す!皆の者、こぞって参加されよ!」

その瞬間、どこからともなく大きな歓声と拍手が上がった。



「姉上」

満足そうにその歓声を聞くアマテラスにツクヨミが声をかけた。

「良うございましたな」

「あぁ」

「我が屋敷の酒と食糧も提供いたしましょう」

「そうか、すまぬな」

「なに、我々の弟の祝いですぞ」

二人は微笑みながら見つめ合った。

「おめでとうございます」

「おめでとうございます」

屋敷の者達が次々とやって来ては、二人に祝福の言葉をかける。

二人はその一人一人に礼を言っていく。

そしてその中に、あのオモイカネの息のかかった女も居た。

「おい、お前」

アマテラスはその女に声をかける。

「はい」

女は腰を低くして答える。

「お前は今からツクヨミの屋敷まで行って、酒と食糧を把握して来い」

ツクヨミは思わずアマテラスを見やる。

(まさか・・・)

女はツクヨミの舌のその感触の残る指を、反対の手で覆いながら返事をした。

「は・・・、はい」

アマテラスはその様子を見、皆に気がつかれない程度に小さく笑う。

「今日はそのまま上がって良い。明朝女官長に報告せよ」

「はい」

「では急ぎ支度をし裏門にて待て」

「はい」

女はツクヨミをちらりと盗み見ると、急いで部屋から出て行った。



ツクヨミはアマテラスの言葉を聞き、絶望した。

これからこの女を我が屋敷に連れ込み、そしてまぐわえという事だろう。

そんなツクヨミの心に気付こうともせず、アマテラスはツクヨミに耳打ちをする。

「今夜、時間を掛けてゆっくりと確実に落とせ。そして心を掴んだ後しばし距離を取り、女の飢餓感を煽れ」

「・・・はい」

アマテラスの唇が、その吐息が、微かに耳に触れ肌が粟立っていくのが分かる。

「あの女がお前を渇望し、向こうから求める様に仕向けよ。・・・いいな?」

アマテラスは言葉を言い終えると、その唇をツクヨミの耳から離した。

そしてツクヨミの瞳を覗き込むと、その意思を確認するかの様に見つめた。

ツクヨミはアマテラスの切れ長の美しい瞳を見つめ返すと、力無く微笑みながら言った。

「姉上は酷な事を仰いますなぁ・・・」

アマテラスはその言葉を聞き、一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに口元をニヤリと上げて言う。

「これが為政者という者だ。その姿、よく覚えておけ」

アマテラスは妖しい笑みを残すとそのまま踵を返し、宴の指示をする為に部屋から出て行った。

そしてすぐに女官達に指示を出す声が聞こえ始める。

ツクヨミはその後ろ姿を見守りながら、アマテラスの唇の感触の残る耳にそっと触れ、小さく姉の名を囁く。

そして独り残されたアマテラスの私室を一度ぐるりと見渡すと、ひとつ小さな溜息を吐き、静かにその部屋を後にした。


†*†*†*†*†*†*†*†*†*†*†*†*†*†*†*†*†*†


musica 「やっと終わった!やっと終わった!」

スーさん 「そして再び古代氏族の勉強に戻る」

m 「うそん!・・・とりあえず明日は二人でこのお話を振り返りましょう(`・ω・´)+」

ス 「逃げたな・・・」



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by garoumusica | 2016-02-17 05:26 | 稲田姫物語 | Comments(2)
本日も稲田姫物語の続きです。

真面目な内容ではありますがいつもよりもエロに関する表現を多く含みますので、苦手意識をお持ちの方はここでソッ閉じしてください。




「そしてこの愚弟めが、如何なる時も姉上をお護り致しましょう」

その言葉を聞いた瞬間、アマテラスは太陽神という名に相応しい晴れやかな笑みを浮かべた。

そしてツクヨミの頭を荒く撫で回した。

「お前は私の可愛い弟だ、ツクヨミ」

ツクヨミはアマテラスにされるがままだった。

自慢の黒髪が乱れるのも構わず、アマテラスのその晴れやかな笑顔に見惚れていた。

姉のこの様な笑顔を見たのは何時振りだろうか?

この笑顔を見る事が出来るのならば己の持つすべての財宝を投げ出しても構わない、そんな心境だった。

しかし、先程アマテラスに指示された事をふと思い出した。

(今、姉上のお役に立つ事と言えば、あの女を落として交わる事)

ツクヨミは思わず苦笑いをした。

(これが因果というものか・・・)

この世に生を受けて以来初めて己の力で護りたいと思ったおなごは、不可触の女神である実の姉。

そしてその女神に命じられたのは、他のおなごと交わる事。

(己の過去の行いの報いなるものは、何と惨い訪れ方をする・・・)

高天原の三貴神であるツクヨミでさえも、世の普遍の真理の前ではただただ嘆き、ひれ伏すしかなかった。



ツクヨミの頭を思う存分撫で回したアマテラスは、先程の女官が持って来た菓子を摘んでいた。

「お前も食べるか?」

ツクヨミは己の心の内を隠す様に、勧められた菓子を無理矢理ひとつ口の中に放り込んだ。

それは果実を干した甘い菓子であった。

口の中に甘みが拡がっていくのを感じながら、己の中の話題を変える為にアマテラスに話題を振った。

「姉上、今後はどうなさるおつもりですか?太陽神は続けられるのです?」

「まぁな・・・。スサノオが心より太陽神としての務めを果たすと決意するまでは、私がその代理を果たさねばなるまい」

ツクヨミはその重圧から解放してやりたい一心で問うた。

「スサノオにオロチ退治が済めば、クシナダ姫を伴って高天原に戻る様に勧めては如何です?」

「あやつはあの地をクシナダに見せてやりたいと言っておったではないか」

アマテラスは笑いながら言う。

そしてその笑みを消すと溜息をひとつ吐き、声を低めて言った。

「・・・あのおなごは本来であれば明日で命を失う運命(さだめ)であった」

ツクヨミはその言葉に何か不吉なものを感じた。

だがそれをかき消すかの様に明るい声で言う。

「ですが、ヤマタノオロチはスサノオが退治出来るのでしょう?それによってクシナダ姫の運命もまた変わりましょう」

「そうだ、スサノオがクシナダの運命を変える。・・・まぁ、私が仕組んだ事ではあるのだが」

アマテラスは自嘲気味に笑う。

そしてその柳眉を寄せると、再び言葉を続けた。

「しかし、人の運命というものはそう簡単にはいかぬ。特に人の生死に関するものは・・・」



「そんな・・・」

ツクヨミは絶句した。

それではスサノオが永遠の守護を誓った相手の命は、結局はその運命の下に失われてしまうと言うのか・・・。

ツクヨミはアマテラスに問う。

「スサノオはこの事を知っているのでしょうか?」

「いや・・・、お前も見たであろう?あの惚け具合を」

「あぁ・・・」

ツクヨミは先程までスサノオが映っていた銅鏡を見やる。

その銅鏡に映し出されたスサノオの顔には、クシナダと共に生きる事への喜びに満ち溢れていた。

「知らせてやらなくても良いのですか?」

「今は明日のオロチ退治に集中する事が肝要。話はその後だ」

「それはそうですが・・・」

「あの男もただのうつけではない。落ち着いてクシナダの気を見ればすぐに気がつこう」



ツクヨミはスサノオの血にまみれた手と手をしっかりと繋ぎ、こちらを見つめていたクシナダの健気な姿を思い出していた。

なんと辛い運命の下に生まれたおなごであろうか・・・。

「何とかならぬものですかな・・・」

「方法が無い訳ではない」

「本当にございますか?」

ツクヨミの声に喜びの色が混じる。

「あぁ・・・。ただそれがどこまで有効なのかどうかは、実際に試してみなければ分からぬ」

「どうすれば良いのでしょう?スサノオに知らせてやらねば」

ツクヨミはアマテラスを急かした。

アマテラスは笑いながら答える。

「あの二人が交われば良いのだ」

「は?」

ツクヨミは口をポカンと開けた。

(交わる?)

この様な一大事に、この姉は一体何を言っているのか・・・。

ツクヨミはアマテラスの言葉を待った。

「クシナダの命の素が足りぬなら、スサノオから命の素をクシナダのその身に直接入れてやれば良い」

「命の素・・・」

ツクヨミはすぐに察したが、高天原で最も美しい女人の前でその名を口にするのは、少々憚られた。

だがアマテラスはツクヨミの心を知ってか知らでか、あっさりとその名を口にする。

「スサノオの子種だ」



ツクヨミは頭を抱えた。

「姉上?少しは恥じらってくださいませ・・・」

アマテラスは恥じらう様子も無く言う。

「なに故恥じらわねばならぬのだ」

そして少々呆れた調子で言う。

「本来まぐわいというものは、心を通わせ合う者達が新たな命を創り上げるという、ひとつの崇高なる目的の為に行うものだ。お前は快楽だけを追求し本来の目的を忘れているかもしれぬがの、ツクヨミ?」

ツクヨミは軽く咳払いをした。

アマテラスは冷ややかな目をツクヨミに向ける。

「子種はその名の通り子を成す為の、新しき命を創造する為の種だ。その種が纏う気の力は計り知れぬ。ましてや本来ならば太陽神として君臨する筈の男の子種だ。その力は言うに及ばぬ」

「子種の纏う気、ですか・・・」

「その力をクシナダの体内にある新たな命を育む場に送り込む事により、クシナダの体内に直接スサノオの命を分け与える事が出来る」

「と言う事は、クシナダ姫はスサノオと交われば交わる程、その寿命が長くなるという事ですかな?」

「それは分からぬ」

「あら・・・」

ツクヨミは少々拍子抜けをした。

「前例が無いからな・・・。スサノオの子種の持つ気の力と、クシナダのスサノオのその気への順応力に賭けるしかあるまい」

「そうですな・・・」

「だが望みが無い訳ではない。お前も見た通り、あの二人はほんの僅かな期間のうちに見事に心を通わせ合った。あの二人の気の順応力は言うに及ばぬ」

ツクヨミは二人の見せた絆の強さを思い出した。



アマテラスは続ける。

「しかし、クシナダは葦原中国の者だ。元々我々とは寿命が違う」

「我々は長寿ですからな・・・」

「うむ。うまく命が長らえたとしてもスサノオと共に過ごせるのは数十年だろう」

「たったそれだけにございますか・・・」

ツクヨミはその寿命の短さに絶句した。

高天原の者達の一生とは余りにもかけ離れている。

数十年など高天原の者のほんの僅かな瞬きの間に終わってしまう・・・。

「これからスサノオは葦原中国で生きて行くにあたり、様々な事を学んでいくだろう。クシナダの国を支え、守り、場合によっては拡大し・・・。そしてクシナダと共に生き、そして子を成し育んでいくうちに一人の男として成長していくであろう」

「姫君の命の素がスサノオの子種であれば、それはそれは子沢山になりましょうな」

「ハハハ!」

アマテラスは一笑するとすぐさまその笑みを消した。

「そしてスサノオにとって最大の学びとなるのが、クシナダの死であろう」


なんと!今日もお・わ・ら・な・か・っ・たーーー・・・、です。

明日も続きます。


☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆


musica 「下ネタでしたねぇ・・・」

スーさん 「命の話をしておったのだ」

m 「絵に描くのを憚られると言うか・・・。子種かぁ・・・(´・ω・`)」

ス 「絵に描くべき場面は他にもあるだろう・・・ヽ(´o`;」


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by garoumusica | 2016-02-16 05:00 | 稲田姫物語 | Comments(0)
本日も稲田姫物語の続きです。




ツクヨミは溜息交じりに言う。

「先程の説教は一体何だったのか・・・」

「先程のは姉としての言葉、今のは為政者としての言葉だ」

「左様にございますか・・・」

ツクヨミはひとつの懸念について口にした。

「それで、あの女の身の安全は保証してくださるのでしょうね?」

例えあの女がオモイカネに金で雇われてアマテラスを探っているのだとしても、ツクヨミと関係を持った事によって、なんらかの制裁を加えられる様な事があれば、やはり良い気はしない。

それだけは避けたかった。

「もちろんだ。オモイカネに罪を責められぬよう、約束しよう」

「それならまぁ、良うございますが・・・」

アマテラスはその言葉を聞くと満足そうに頷いた。

「我らはあの女の正体を知らなければ良いのだ。そうすれば女好きの愚弟が手を出してしまった、あの女も立場上断れなかった、で済む事だ」

「また恐ろしい事をさらりと言いなさる・・・」

ツクヨミは再び溜息をついた。



そしてツクヨミは話をしているうちに浮かんできた疑問を、何となしにアマテラスに問うてみた。

「ところで姉上、どちらの姉上が本当の姉上でしょうね?」

「何の事だ?」

アマテラスは訝しむ。

「姉として説教をする姉上と為政者として女を落とせと言う姉上。余りにもその言葉が違い過ぎるものですから」

「・・・なるほど」

アマテラスはそう呟くとツクヨミを見つめたまま黙り込んだ。

アマテラスはツクヨミの目を見ているのだが、その瞳はツクヨミを通り過ぎ、何処か遠くを見ているかの様だ。

(しまった・・・、まずい事を聞いてしまったか・・・)

ツクヨミはそのアマテラスの様子を見、思った事を迂闊にもそのまま問うてしまった己を責めた。

誰にでも触れてはならぬ事がある。

それを忘れていた。

先程姉としてのアマテラスに「お前は人の心が分かっていない」と言われたばかりだというのに。

もっとも、触れてはならぬ事をいとも簡単に触れてしまうその最たる人物が、アマテラスではあるのだが・・・。



しばらくしてアマテラスがぽつりぽつりと話し出した。

「どちらが本当の私か・・・。それは、どちらも私では無かろう」

「姉上・・・」

「何故なら、為政者としての私はただのスサノオの代理に過ぎぬ。そしてひとりのアマテラスとしても、本当の名と本来の役割を私自身知らぬのだから、私という者は存在しておらぬのと同じ事・・・」

そうだった。

この高天原の最高神は、あくまでもスサノオの代りに過ぎないのだ。

そしてスサノオが本来の役目を果たすと宣言したその時に、その名を失う。

(私が迂闊過ぎた・・・)

ツクヨミは己の軽率さを心から悔やんだ。

為政者として、三貴神(みはしらのうずのみこ)の筆頭として、そしてアマテラスという名を持つ一人のおなごとして、この姉はどれほどの重圧を抱えながら、独り、誰にも相談も出来ずに生きてきたのだろうか?

そしてそのどれも仮のものに過ぎない。

どんなに精を尽くしたとしても、いずれすべて失われるのだ。

そう考えると、スサノオが黄泉の国へ行くと挨拶をしに来た時に、その地位を奪われまいとして、武装し出迎えたアマテラスの気持ちが初めて理解出来た気がした。

アマテラスの武装は、太陽神の地位への執着ではなかったのだ。

それは己を確立するものを護ろうとする本能であろう。

太陽神としての己、三貴神としての己、そしてアマテラスとしての己。

それらを手放す心の準備も何も出来ていない時に、突然スサノオがやって来たのだ。

スサノオがそれらを奪い返そうとしに来たと勘違いしても仕方なかろう。

己を形作るものが足元から崩れ去ろうとするその音を聴き、ただただ己というものを護る為に武装してしまった姉を、誰が責められようか?



ツクヨミは突然、偉大なる姉がただのか弱いおなごに見えた。

どこにでもいそうな、非力なおなご。

ツクヨミがその手で手折る事も簡単に出来よう。

そして、己が両手で護ってやらなければ、そこに佇む事さえも難しいのではないかと思えてしまう程の・・・。

そしてふとスサノオの事を思い出した。

スサノオもクシナダ姫に対してこの様に感じたのであろうか?

だからこそ、美しき黒髪のその一筋に永遠の守護を誓ったのであろうか・・・?

「何を見ておるのだ?」

「あ・・・」

ツクヨミはアマテラスの言葉に我に返った。

その様子を見たアマテラスはニヤリと笑いながら言う。

「ついに姉にまで欲情したのか?お前は」

(いや・・・、この性格は地だな・・・)

ツクヨミは溜息をひとつ吐くと、先程の考えを改める事にした。

ただひとつの真実を残して。



「姉上・・・」

「ん?」

「姉上にはひとつだけ、変わる事の無いご自分をお持ちです」

「なんだ?」

ツクヨミは一呼吸置いて言った。

「私の姉上であるという事ですよ」

アマテラスはツクヨミを見つめた。

「そしてこの愚弟めが、如何なる時も姉上をお護り致しましょう」

その言葉を聞いた瞬間、アマテラスは太陽神という名に相応しい晴れやかな笑みを浮かべた。

そしてツクヨミの頭を荒く撫で回した。

「お前は私のかわいい弟だ、ツクヨミ」


明日も続きます・・・。


(★´∀`)ノ。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


musica 「今日は絵を描きたくて、時間を節約するつもりで最後の話を二つに分けて書く予定でしたが、まったく違う内容を書かされました・・・」

つっくん 「面白い体験だっただろう?」

m 「そうですね。パソコンの前に座っていざキーボードを叩こうとしたら、まったく違う内容が脳裏に浮かんで来まして。なんとなくそっちを書きました。そしたら姉の苦悩と弟の理解、そして淡い恋心が!?みたいな内容になりました。これって良いんですか?」

つ 「フフフ。まぁそれは見る人の判断に任せれば良い事。古事記のパラレルワールドなのだろう?」

m 「はぁ・・・。ちなみに調べてみたところ、古代の日本では異母であるなら兄妹・姉弟が肉体関係を持つ事が認められていたそうです。スーさんとアマテラねぇちゃんの誓約が実際は肉体を持って交わっていたとした場合、この姉弟はどうなんですかね?父の身体のみから生まれましたから」

つ 「まぁ、妖術で子を成したと言うのが正式な神話だから、そこまでは気にしなくていいよw」



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by garoumusica | 2016-02-15 05:00 | 稲田姫物語 | Comments(0)
本日は稲田姫物語の続きです。





アマテラスはつい先程までスサノオを映していた銅鏡の前で立ち尽くしていた。

今となってはただの炭の塊と成り果てたスサノオの爪を指で潰し、そしてその黒い粉を押し広げていた。

ツクヨミはアマテラスに声を掛ける。

「姉上にとってスサノオは可愛い弟ですから、その様子が気になるのは分かりますがね、夫婦の会話まで覗き見ようとするのは、少々趣味が悪うございますよ」

アマテラスはツクヨミを振り返ろうともせずに、そのままの姿勢でぽつりと呟いた。

「・・・私の可愛い弟はスサノオだけではないぞ?」

ツクヨミはその言葉を聞いた瞬間、背筋が凍っていく様を感じた。

(まさか・・・、私の事も・・・)

アマテラスはスサノオの残骸を指で広げながら、ツクヨミの心を見透かした様に言う。

「お前は女を連れ込み過ぎだ」

「姉上!」

ツクヨミは声を上げる。

アマテラスは溜息を吐きながら言う。

「毎日毎日違う女を屋敷に連れ込みおって。お前は盛った犬か?」

「姉上!」

ツクヨミは思わず声を荒げた。

その瞬間、まだ繋がりを保っていた銅鏡から、オモイカネが盛大に咽せ込む音が聞こえた。

アマテラスは小さく鼻で笑うと艶めかしい表情を浮かべながら、スサノオの残骸の付いた指でオモイカネの映る銅鏡の縁をなぞり始めた。

「どうした?オモイカネ・・・」

「い、いえ・・・、何も・・・」

その様子を見ていたツクヨミは思いついた様にアマテラスに問う。

「姉上・・・、姉上の部屋には沢山の銅鏡がありますが、これは全部覗き用ですか?」

「覗きとはなんと失礼な言い草・・・。高天原の安寧を見守るのが私の務め。皆の様子を逐一見守っておるだけだ」

「見守るとは・・・。それでは銅鏡を通じて会話をする時以外でも監視は可能だと?」

アマテラスは銅鏡に映る少々強張った表情を浮かべたオモイカネの顔の輪郭をなぞりながら言った。

「監視では無い、見守っておるのだ・・・」

オモイカネは銅鏡の中で顔を更に引きつらせる。

「どうした?オモイカネ・・・」

「あ・・・」

オモイカネはたった今思い出したかの様に言った。

「火急で探し出さなければならぬものを思い出したので、私はこれにて失礼いたします」

「そうか、もう去るのか?残念だな・・・。それが終わり次第皆を集め、スサノオの処罰撤回と名誉回復について説明せよ」

「はい・・・」

その言葉を残してオモイカネは姿を消した。

オモイカネはスサノオの時と同じ様にアマテラスの「眼」を探し出すつもりなのだろう。

アマテラスは銅鏡に仕掛けた妖術を解き、オモイカネとの繋がりを絶つと銅鏡に向かって言った。

「一生探しておれ、愚か者め」

アマテラスは鼻で笑う。

「お前如きに私の『眼』を見つけられると思うなよ」

「可哀想なオモイカネ・・・」

ツクヨミは少々同情をし呟いた。

アマテラスは指に付いた炭を払うと、ツクヨミの方へと振り返った。

「まぁ座れ。茶でも飲もう」

「もー・・・」



アマテラスは女官に二人分の飲み物を頼むと、再び脇息にもたれた。

その向かいにツクヨミは机越しに座る。

アマテラスが再び口を開く。

「ところであれは何だ?お前がスサノオに言った言葉」

「あれですかな?『次から次へと美しい花を渡り歩いていると、気がつけば毒に侵される』」

「そうだ。随分と心に傷を負っていた様ではないか。可哀想に、あの様子では当分クシナダと交われぬだろうよ」

「お可哀想な姫君・・・。愚弟に成り代わり、このわたくしめがお相手を致そ・・・アイタッ!」

アマテラスの妖術がツクヨミを直撃する。

「馬鹿も休み休み言え。そもそもあれは私がお前に言った言葉ではないか」

「そうでしたかな?まぁ、同じ女好きですからスサノオにも有効でしょう」

「馬鹿者、同じ女好きと言えどもスサノオは女の身体だけが目当てだ。これはスサノオに寄ってくる女の方も、ある程度は割り切っているところがあった。だが問題なのはそなただ。そなたは女の心をも弄ばなければ満足せぬ」

「相手を愛するが故にございますよ」

「違う。そなたは心を手に入れる事が出来れば、その後は急速に興味を失い新たな相手を探す。そなたは相手の心を手に入れる過程を楽しんでいるだけじゃ」

「厳しゅうございますなぁ」

「そなたは人の心というものが分かっていない。それ故に人の心を弄ぶ事が出来るのだぞ?」

「・・・」

アマテラスの厳しい言葉にツクヨミは返す言葉が見つからなかった。

アマテラスは頬杖を突きながら呆れた様子で言う。

「先日もお前がたぶらかした女の父親から、仲を取り持つ様にとの書状が届いておったぞ」

「えー、やだ〜、親を使って姉上に訴えるとは・・・。どこの姫君ですか?面倒臭い子・・・」

「馬鹿者・・・」

アマテラスが突然会話をやめた。

ツクヨミが訝しんで声を掛けようとするも、アマテラスはそれを目で制する。

そして戸の入り口に向かって声を掛けた。

「どうした、早く持って来い」

すると戸の向こうから、先程の女が茶と茶菓子を持って現れた。

二人はその様子を見守る。

女は二人の間にある机に茶と茶菓子を置こうとするが、その手は微かに震えている様だ。

アマテラスはツクヨミに目配せをし、ツクヨミはそれに対して目を僅かに細めて返した。

そして女が茶を盆から置こうとした時、ツクヨミが茶を受け取る振りをしてわざと茶をこぼした。

「あっ!」

こぼれた茶が女の指にかかり、女は小さく声を上げ手を引っ込めた。

「これは申し訳ない」

ツクヨミは強引に女の手を取ると、ほんのりと赤く染まった女の指をいきなりその口に含んだ。

「あっ・・・」

女は驚いて指を引こうとするも、ツクヨミはその手を離さない。

ツクヨミは女の指を舌でゆっくりと舐ると、そのまま上目遣いで女の目を見つめた。

この屋敷で働く者なら皆憧れる、アマテラスによく似た切れ長の妖艶な目だ。

女はその目に艶めかしく見つめられ、硬直したかの様にツクヨミから目を離せない。

ツクヨミはその指を一通り堪能した後にようやく解放し、魅惑的な笑みを女に向けながら言う。

「これでもう大丈夫」

「あ・・・」

女はその指を胸の前で抱える様にしたまま動けずにいた。

「もう良い、下がれ」

女はアマテラスのその声で我にかえると、二人に一礼をし部屋から飛び出して行った。



「見事なものだな」

「性ですかね?」

ツクヨミはこぼれずに残った茶を一口飲んで問うた。

「それで?今の子はオモイカネの手の者ですか?」

「そうよ・・・。あの男、妖術で私を探れぬと知るとあの女を送ってきた」

「はぁ・・・、嫌な世の中にございますなぁ・・・」

ツクヨミは溜息をつく。

「ツクヨミ、あの女を落とせ」

「姉上はご自分の言った言葉を覚えていらっしゃいますか?」

ツクヨミが呆れながら言う。

「妖術で口を割らせてはオモイカネに気づかれる。私が抱きかかえる訳にもいかぬ。そこでお前の出番だ」

「なんと都合の良い・・・」

「心を握れ。女というものは心さえ掴んでしまえば、お前が問わずとも己の方からベラベラと口を割るだろう。その愛故にな・・・」

アマテラスは口の端を持ち上げてニヤリと笑う。

ツクヨミは溜息交じりに言う。

「先程の説教は一体何だったのか・・・」

「先程のは姉としての言葉、今のは為政者としての言葉だ」


明日も続きます。


*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*


musica 「今日はほんのりエロでしたね」

つっくん 「まぁ昔は娯楽が少なかったからどうしてもね」

m 「明日で終わりですかね?」

つ 「まぁ頑張ってまとめてみなさい」



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by garoumusica | 2016-02-14 05:00 | 稲田姫物語 | Comments(0)
昨日はお絵描きモードに突入し映像を文字に直せなかったので、本日は高天原編に関するスーさんとの会話です。



今振り返れば、そもそもの事の起こりはピンクラブラドライトを手に入れた事から始まると思うのです。→ピンクラブラドライト。

ピンクラブラドライトに塗られていた白檀オイル。

白檀はスーさんの匂い。→Perfume of love

それで、ついつい成阿(入力ミスですが気になる字の並びなのでメモ用にのけておきます)、浄化用の白檀オイルを購入し、ピンクラブラドライトを磨く様になったのです。

そんなある日、なんとなくラブラドライトを手に持ったままベッドへダイブ。

そのまま「スーさんの匂い〜」などと思いながら白檀の香りを嗅ぎながらウトウトしていたところ、突然落ちてきた稲田姫物語の本編全部。

多分白檀の効能のせいです。→白檀オイルの効能、効能は・・・。

その時は初めの部分を脳内で映像再生をしてニヤニヤしただけで終わったのです。

で、特に興味も無いしそのまま数日放置をしたのですが、そうしたらこのブログのネタを与えてもらえなくなりまして・・・。

本来の私は日記は三日坊主タイプで、どんなに高級な日記帳を購入しても3日も持たずに書くのをやめる程の日記嫌いです。

なのでこのブログもネタを与えて貰えないと書く事がない!

それで困ったなーと思っていたら、アレ書いたら?とおっさんが・・・。

と、言う訳で稲田姫物語を書き始めたのです。



本編はただの公開いちゃいちゃだったのでまだ良かったのですが、問題は高天原編。

スーさん=太陽神っていう設定が気に入らないと言うかなんと言うか・・・。

昨年私は太陽神=アマテルにぃちゃんの絵をそれは結構な時間をかけて描いたのです。

それを否定する様な内容を書かされるとは・・・。

高天原編は本編が終わる2日くらい前に落ちてきたのですが、その時はアマテラねぇちゃんとつっくんの簡単な会話のみだったのです。

なので本編が終わった時に「明日からはアマテラねぇちゃん×つっくんがメインの高天原編に移行して、あと1〜2回続きます!」と書いたのです。

それがいざ書いてみたら初めの内容とは大きく変わって、スーさん×稲ちゃんも結構出てくるは、思いもしなかったオモイカネさんも出てくるは。

大体オモイカネって誰だよ!

明日はどうなるか分からないという状態で書き進めて行きました。

それで進めるうちに出てきたスーさん=太陽神という図式。

昨年描いた太陽神アマテルにぃちゃんの絵はどうなるの!?毎日挨拶しているアマテルにぃちゃんはどうなるの!?という感じで、かなり葛藤しました。

なんで己の書いてるブログで日々の自分を否定しなきゃいけないんだ?と。

自己防衛ですかね?

でも、おっさんsに関しては自分で創作をしてはいけないと思ったので、結局は書いちゃいましたけど・・・。

でもやっぱり一言言いたい!



musica 「結構酷くない!?」

スーさん 「物語だよw」

m 「スーさんのばかー!」

ス 「二言目だね。一言じゃなかったのかい?」

m 「この二つはセットとなっております(`・ω・´) 」

ス 「ハハハ、まぁなんとでも言いなさい。君を受け止めるのが私の仕事だ」

m 「また年の功を振りかざすし。・・・でもひとつだけ納得する事があります」

ス 「フフフ」

m 「スーさんの光の色が夕方の太陽の色。それだけは認めます。夕方の太陽の光が顔を照らした時、スーさんなのか太陽なのかすぐには判断出来ない程です」

ス 「なかなか美しい発言だね」

m 「逆にスーさんの光を見た時に、太陽の光が顔に当たってるのかな?って思う事もあります」

ス 「ハハハ」

m 「私が1番初めのスーさんの絵を描き上げた後、まだスーさんの存在を知らない頃に初めての贈り物をしてくれた時もそうでしたね。太陽の光が顔に当たってるのかと思いました」

ス 「懐かしいものだね」

m 「はい。本当に」→画廊 musica 「musicaの奇跡。」

ス 「先日ネットで見かけた私の光に似た石を購入していたね。今日は土曜日だし本館に載せたらどうかね?」

m 「そうですねぇ・・・。黄金の龍達が閉じ込められた美しい太陽の石・シトリンです」→画廊musica 「シトリン・トパーズ。」

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by garoumusica | 2016-02-13 05:00 | つれづれ | Comments(0)
めっちゃ遅れました、すみません・・・(´・ω・`)。


本日も稲田姫物語の続きです。




(また癇癪を起こしてしまった・・・)

アマテラスの「眼」を破壊してしまったスサノオは大きな溜息をついた。

「眼」があった場所には、いまや夕陽しかない。

スサノオはその夕陽を見て思う。

太陽神。

その響きに憧れが無いと言えば嘘になる。

しかし己にその資格があるのかと問えば、答えは否だ。

今はクシナダが側に居て、ようやく一人で立っている様な状態だ。

アマテラスとツクヨミには、己がクシナダを護ると言った。

だが、それは逆であった。

実際にはスサノオがクシナダに護って貰っている状態なのだ。

その様な状態で太陽神など務まるはずが無い。

(クシナダ姫には己の立場を自覚せよ、覚悟を決めよと偉そうに言ったが、自覚も覚悟も無いのは己の方だ)

スサノオは己を恥じた。

(一刻も早くクシナダ姫に認めて貰える様な男にならねば)

スサノオはクシナダの手をしっかりと握り直すと、沈みゆく夕陽に誓った。



クシナダは己の手を握る力の変化に気がつき、スサノオを見やる。

先程までとは目線の高さが違う様だ。

(終わったのかもしれない・・・)

クシナダはスサノオの手の具合が気になり、思い切って声を掛けた。

「スサノオノミコト・・・」

スサノオはその声に反応しクシナダを見た。

その顔には複雑な表情が浮かんでいた。

(何かあったのかしら・・・。でもきっと、私の出る幕は無い・・・)

そう判断したクシナダは、質問したい気持ちを抑え言った。

「お帰りなさいませ」

するとスサノオは少々驚いた様な表情を浮かべた後に、

「ただ今戻りました、姫君」

と、少々照れた様子を見せながら言った。

(よかった・・・、笑っていらっしゃる)

クシナダはホッと胸をなでおろした。



次の瞬間、スサノオはふと血の臭いに気がついた。

血の臭いの出所を確認しようとクシナダの方を見やると、繋いだクシナダの手が真っ赤に染まっているではないか。

その瞬間、スサノオは身体中の血の気が引いていくのを感じた。

(なんだこの血は・・・)

スサノオは繋いでいたクシナダの手を離すとその手首を掴んだ。

そして血に染まったクシナダの手を見ながら、鬼の様な形相で叫んだ。

「どうしたのだ!この血は!」

「えっ?血?きゃっ!」

スサノオのあまりの剣幕に驚いたクシナダが言い淀んでいると、突然クシナダの身体が宙に浮いた。

スサノオはクシナダを両腕で軽々と抱きかかえると、屋敷に向かって大股で歩き出した。

それは普通の男が走っているのと同じ速さだ。

クシナダは突然頭の位置が変わった為か少々頭がクラクラし、うまく話す事が出来なかった。

「ま、待って・・・」

クシナダはそれでもなんとか下に降りようと、スサノオの両腕の中で手足をばたつかせた。

「手の傷が開いちゃう、降ろして!」

それでもスサノオはクシナダの訴えを聞かずにひたすら歩き続けた。

クシナダはスサノオの胸を押して必死に訴える。

「スサノオノミコト!傷が!」

するとスサノオはピタリと歩みを止めると、クシナダに向かって大声で叫んだ。

「おとなしく抱かれてろ!」

クシナダはポカンとした様子でスサノオの顔を見つめた。

そして頬を赤らめると抵抗をするのをやめた。

スサノオはそれを確認すると再び歩み始めた。

二人は結局そのままで屋敷へ到着した。



「誰か!誰かおらぬか!」

スサノオはクシナダを両腕に抱きかかえたまま、歩みを止めずに屋敷の中へ入る。

屋敷の中は警備の者とごく少人数の世話をする者を残し、皆避難先へ移動していた為、夕餉時の屋敷内にすぐさま対応出来る者はいなかった。

スサノオはチッと舌打ちをすると、クシナダに聞いた。

「クシナダ、酒はどこだ!傷を洗うぞ!」

「あ、あちらにございます」

クシナダは怪我をした際に使用する酒のある場所へと案内した。

その場所へ辿り着くとスサノオは恭しくクシナダを降ろし、今度は酒を浸す布を探し始めた。

「布はどこにある!」

「あ、こちらに・・・」

スサノオは清潔な布をクシナダから受け取ると、左手に持った布に勢い良く酒をぶち掛けた。

その瞬間己の左手に激痛が走り、スサノオは思わず布を落としてしまった。

「アッ・・・!」

スサノオは声にならぬ声を上げると、右手で左手首を掴んだ。

(何だこの痛みは・・・!早くクシナダの手当てをしなければ・・・)

スサノオが痛みに耐えているとクシナダは落ち着いた様子で布を拾い、スサノオの目の前で血にまみれた己の右手を拭いた。

そして血を綺麗に拭き取ったその手をスサノオの顔の前に持って行くと、クルクルと回転させて見せた。

「はい!私の手には傷がございません!」

「え・・・?」

それからクシナダは新しい布に酒を浸すと、それをスサノオに見せた。

「手当てが必要なのはスサノオノミコトです!」

クシナダはスサノオの左手首をむんずと掴んだ。

「さぁ!お座りくださいませ!」

「・・・」

スサノオはクシナダの指示に素直に従った。

クシナダはスサノオの正面に座ると、丁寧に傷を消毒していった。

「アッ!」

スサノオが手を引っ込めようとするのをなんとか抑えながら、クシナダはスサノオの血を拭いていく。

「スサノオノミコト?」

「はい・・・」

大男はその身を小さく丸めてクシナダの話を待った。

「心配してくださるのはとても嬉しいのですけど、私の話もちゃんと聞いてくださいませ」

「はい・・・」

クシナダは消毒を終えると、今度は細く織り上げた布をスサノオの手にきつく巻いていった。

「ツ・・・」

「誰よりも大切な貴方様の身体なのですから」

スサノオはその言葉を聞くと頬を染めたが、居住まいを正してクシナダに言った。

「私は貴女の身体の方が大切だ」

クシナダは手を一瞬止めると、再び布を巻いていった。

「・・・怪我をしている方が優先です」

「まさか己が怪我をしているとは思いも寄らなかったのだよ」

クシナダは少々呆れながら言った。

「痛みで気がついてくださいませ」

「貴女の血まみれの手を見て気が動転してしまい、痛みを全く感じなかったのだ」

クシナダは顔が赤く染まっていくのを隠す様に立ち上がると、己の服についたスサノオの血を見せて言った。

「服が血まみれにございます」

「あー・・・、これは済まない事をした。なんとお詫びして良いやら・・・」

スサノオはクシナダを見上げながら申し訳なさそうに言う。

「それでしたら、これからはご自身の事を優先してくださいませ」

スサノオは眉間に皺を寄せた。

「うーん・・・、それは難しいかな・・・」

「もう、それでは駄目です!」

クシナダは唇を突き出して抗議をする。

するとスサノオは人差し指を上に向けて言った。

「それではこれはどうだ?お互いがお互いの事をまず考える」

「でもスサノオノミコトは私の話を聞いてくださいませんでしたよ?」

スサノオは困った様に首を傾げた。

大男のその様子を見たクシナダは思わず笑ってしまった。

そして再びスサノオの前に座ると微笑みながら言った。

「それにしても怪我をしたのが左手で良うございました」

「何でだね?」

「スサノオノミコトは右手で剣を握られるでしょう?」

「あぁ、剣を扱う者は両手で剣を扱える様に訓練をしているのだよ。何も問題は無い」

「えっ?本当にございますか?」

「そうだよ、ほら。アッ!」

スサノオはうっかり怪我をした左手で剣を持ち上げてしまい、その重さで傷口が開いてしまった。

その痛みで危うく落としそうになった剣を咄嗟に右手で受け止めると、スサノオはいかにも「しまった」という表情を浮かべ、上目遣いでクシナダを見た。

クシナダは手を腰に当て、「それ見たことか」とでも言いたげな表情を浮かべながらスサノオを見ていた。

「・・・申し訳ない・・・」

スサノオはしょんぼりとした様子で言った。

クシナダはその大男の様子に笑いがこぼれ落ちそうになるのを堪えながら、威厳のある振りをしながら言った。

「わたくしはまだ何も言っておりません!」



下働きの者達は夕餉を出す良い頃合いを計れず、物陰から二人のやり取りをニヤニヤしながらいつまでも見守っていた。


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画像の再利用。


スサノオとクシナダの出番はここまでです。

多分明日で終わります。


☆☆.。.:*・゚*:.。.☆☆.。.:*・゚*:.。.☆☆.。.:*・゚*:.。.☆☆.。.:*・゚*:.。.☆☆


musica 「スーさんの過保護っぷりがよく分かりますね」

スーさん 「・・・」

m 「そしてその性格がいまだに続いているという事実」

ス 「・・・」


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by garoumusica | 2016-02-12 05:34 | 稲田姫物語 | Comments(0)
本日も稲田姫物語の続きです。




「スサノオ・・・、兄上。兄上の本来あるべき姿、それは太陽神だ」

(スサノオが太陽神・・・)

ツクヨミはアマテラスの思い掛けない言葉に、息をつく事すら忘れていた。

アマテラスの説明は一々納得のいくものだった。

が、頭では理解が出来ていても心がそれに追いつかない。

ツクヨミにとってスサノオは悪友であり、手の掛かる可愛い弟だった。

それが兄だったとは・・・。

しかも自分が支えるべき相手。

それが嫌だという訳ではない。

太陽神の地位が羨ましいなどという事もない。

ツクヨミは己の器をよく分かっているつもりだ。

己には太陽神として立つ器は無い。

アマテラスの日々の職務を間近で見てきて、つくづく己は月神で良かったと思ったものだ。

しかし、その太陽神としての役目をスサノオが果たす。

それは以前の無法者のスサノオでは考えられない話だった。

器の無い者が権力を持つとその先に待つのは破滅のみ。

それは世の理だ。

だが、己を制御し感謝を覚えた今のスサノオではどうだろうか?

その凄まじき妖力、その凄まじき影響力、その凄まじき牽引力。

まさしく高天原を統べるに値する者ではないか・・・。

ツクヨミは今までとは全く異なる目線で、銅鏡に映るスサノオを見ていた。



アマテラスは言葉を続ける。

「兄上、スサノオという名はもはやその役目を終えた。兄上は本来の名を名乗るべきだ」

『本来の・・・』

「そうだ。私は父上から兄上の本来の名を預かっている。時が来ればその名を兄上に伝える様にと・・・」

『・・・』

「私はその時が来たと思っている」

「お待ちくださいませ」

オモイカネが突然声を掛けた。

「オモイカネよ、今姉上が話しておられるのだ。分をわきまえよ」

ツクヨミが冷たく言い放つ。

「そなたは先程から何だ?姉上の話に口を挟む様な真似をしおって」

「いいえ、私はその様なつもりは・・・」

「私にはそなたが先程から兄上が太陽神になる事を阻止しようとしている様にしか見えぬ。それとも何か?兄上が太陽神になるとそなたに不都合でもあるのか?」

オモイカネは頭を下げて言った。

「滅相もございません。ただ真の名には妖力があります。その名を知ればスサノオノミコトには太陽神としての役割が、アマテラスオオミカミより自動的に遷移する事になりましょう」

ツクヨミは言葉を詰まらせた。

オモイカネの言う通りだった。

アマテラスがスサノオの代わりとして太陽神を務められているのも、アマテラスという名の持つ妖力によるものだった。

アマテラスが太陽神としての役目を終える時、アマテラスという名は失われ真の名が与えられる。

その名が何と言うのかアマテラスは知らない。

真の名を知ってしまえば太陽神としての力が失われるからだ。

名というものにはそれ程までに持つ者に力を与えるのだ。

その説明に、この場でオモイカネの思惑を露顕させようとしたツクヨミの策は、失敗に終わった。



オモイカネはアマテラスに提案する。

「まずはスサノオノミコトに、太陽神としての役割を果たすお気持ちがあるのかどうか確認されてから、真の名をお伝えしては如何でしょう?何より大切なのはスサノオノミコトのお気持ちに御座いますれば」

「うむ・・・」

確かにその通りだ。

肝心の本人の気持ちを無視して事を運んでも仕方がない。

アマテラスはスサノオにその意思を確かめる事とした。

「兄上、兄上は如何される」

『え・・・?』

スサノオは動揺を隠せないといった様子で答えた。

「高天原へ戻り太陽神としてこの地を統べられるか?」

高天原に居る者達は固唾を飲んでスサノオを見守った。



しかし、スサノオの出した答えは皆にとっては意外なものであった。

『あー・・・、私はクシナダに約束をしたのだ。春になれば山々に咲き誇るという薄紅の花を共に見ようと』

「は!?」

一同はスサノオが何を言っているのか理解が出来なかった。

薄紅の花!?

薄紅の花が何だというのだ・・・。

スサノオは皆の思いには気付かずに、満面の笑みを浮かべながら言った。

『クシナダはヤマタノオロチ故に、この葦原中国を自由に見て廻った事がないのだ。私はクシナダにこの地を見せてやりたい。だからこの地を離れる訳にはいかぬ』

気を取り直したツクヨミはスサノオに問うた。

「太陽神としての役目はどうするのだ」

『それなのだが・・・、クシナダに泳ぎを教えてやると言ったのだ、私は』

「は!?」

クシナダに泳ぎを教える事と太陽神になる事に、一体何の関係があるというのだ・・・。

スサノオは眉間を寄せ、難しい顔をしながら生真面目に言った。

『クシナダにとっては初めての海だ。何が起こるか分からぬ。だから万が一の事態に備えて、私は海神のままでいた方が都合が良いと思う』

高天原の者達は開いた口が塞がらなかった。

この男はおなごに泳ぎを教える為だけに、太陽神という高天原最高位を蹴ると言うのか・・・。

スサノオは己の腕に寄り添うクシナダに、優しい眼差しを向けながら言った。

『それに私はクシナダの美しき髪の一筋に誓ったのです。この身が朽ち果てようとも永遠に貴女を護り抜くと』

その優しげな表情は、アマテラスとツクヨミが初めて見るスサノオの表情だった。

なんと幸せそうな顔だろうか・・・。

その表情を見た二人は無条件にスサノオの心を汲み取ろうと決めた。

スサノオが初めて手にした幸せを優先する、それはアマテラスの高天原の最高神としての立場からすれば許される事ではない。

だが、二人はスサノオの幸せを優先する事に決めた。

それは姉弟の絆故だった。



しかし、この場にはそれを理解出来ない男がいた。

オモイカネだ。

オモイカネはこの男は阿呆なのではないかと思った。

誰もが欲する高天原の最高神としての地位。

それをたった一人のおなごの為にいとも簡単に蹴ってしまうと言うのか・・・。

しかし、それは同時に最高神としての器を見せ付けられる事にもなった。

権力に執着せぬ姿勢、それは真の権力者に最も必要な姿勢だった。

その執着故に国を危機に陥らせる者、足を掬われる者は枚挙にいとまがない。

アマテラスでさえ太陽神という地位に対する執着を見せた事があった。

それはスサノオが黄泉の国に行くと言って、アマテラスの元へと訪れた時の事だった。

あの時アマテラスはスサノオが高天原に攻撃を仕掛けてきたと勘違いし、武装して待ち構えた。

人々はその姿を高天原を守る為に男装をしてまで立ち向かったと思っていたが、オモイカネにはそうは見えなかった。

アマテラスがスサノオの何かに怯えている様にしか見えなかった。

それと同時にアマテラスの権力者としての器の無さと、スサノオの能力がアマテラスよりも上回るという事実が透けて見えた。

その後、スサノオの狼藉に疲弊したアマテラスが己に相談を持ちかけ、すべてを打ち明けて来た時には好機の到来を感じた。

心の中に隙のあるアマテラスが高天原に君臨し続ける方が、己は権力に近づく事が出来る。

それがオモイカネの判断だった。

そしてオモイカネはスサノオを高天原から追放し二度と戻らぬ様に計画を立てたのだが、ここに来てアマテラスが太陽神への執着を無くしてしまった・・・。



アマテラスはスサノオに問う。

「兄上、名はどうするのだ?そのままで良いのか?」

『まだまだ己にはスサノオという名の戒めが必要にございます』

「・・・そうか・・・」

『それにクシナダ姫がこの名を呼ぶ時、スとサの並びが少々言い難いようでわずかに言い淀むのですが、それがまた愛らしくて・・・』

「あー・・・、そうか・・・」

オモイカネはやはりこの男は阿呆だと確信をした。

しかし愛すべき阿呆ではあるが・・・。

「それでは兄上は今まで通りで良いと申すか?」

『はい。私は姉上と兄上の弟にございますれば』

「そうか・・・、お前がそれで良いと言うのならば我々は何も言うまい」

姉と弟達は、しばしの間見つめ合った。



『では姉上、クシナダを待たせておりますのでこの辺りで・・・』

「そうか、明日は頑張れよ。まぁお前の腕ならばなんて事のない相手だ。気張らずに行けば良い」

アマテラスは微笑みながら言った。

『はい。・・・それから姉上』

「なんだ?」

『残りの爪と髭は処理させていただきました』

「なにっ!?」

アマテラスはそのスサノオの言葉を聞くや否や素早く立ち上がると、銅鏡の並べてある調度品に備え付けてある引き棚を開け、美しく玉で彩られた宝石箱を取り出すと中身を確認した。

しかし、そこには本来あるべきスサノオの剥ぎ取られた爪ではなく、黒く焼け焦げた塊があるだけだった。

「・・・」

「あー・・・、これでは使い物になりませんなぁ」

ツクヨミがアマテラスの肩越しにその焦げた塊を見て言った。

そしてその妖術を扱うスサノオの技術の高さに舌を巻いた。

この部屋はアマテラスの私室だ。

アマテラスはこの部屋には何重にも結界を張っている筈だ。

何かが侵入しようとしたり、また、気がいつもと違う動きをする様であれば、アマテラスは己の肌に触れられたかの如く気がつく事が出来る。

だが、アマテラスは気がつかなかった。

スサノオの使役する者が侵入したのか、それとも気を動かしたのか、それすらも分からない。

いずれにせよツクヨミはその技術の高さに、ただただ驚くばかりだった。



アマテラスは更に何かに気がついた様を見せると、今度は別の引き出しを開いた。

そしてそこにあったのは、やはり黒く焼け焦げた何かだった。

「姉上は髭までご丁寧に保存しておられたのですか・・・」

ツクヨミが呆れながら言った。

アマテラスはしょんぼりと肩を落とし、その焼け焦げた爪と髭を見ていた。

スサノオはその様子を見るとニヤリと笑い、そして言った。

『眼の素が姉上の手元にあるままでは、心置きなくクシナダをこの腕に抱けぬものでな』

その言葉を聞き、アマテラスは鼻で笑った。

「・・・フン、小癪な。クシナダを何度も襲おうとしながらも勇気が出ず、結局は髪に唇を寄せる事が精一杯だった男が、偉そうな口を聞くでない」

スサノオは激しく動揺した。

『なっ、何故姉上がそれを・・・」

アマテラスは唇の片側を上げ、銅鏡に映るスサノオの下の部分を覗き込むような動きをしながら、追い討ちをかける様に言った。

「あの様子でお前のイチモツはいざという時に役に立つのか?その粗末なイチモツを猛々しくさせる為の薬湯でも送ってやろうか?ん?」

その瞬間、銅鏡が何も映さなくなると同時に、銅鏡の裏側に貼り付けてあったスサノオの爪が炭化し、ぽとりと落ちた。

それを見たアマテラスはポツリと呟いた。

「・・・最後のひとつだったのだが・・・」

スサノオの身体の一部が無ければ、葦原中国に降りたスサノオの様子を銅鏡で見る事は出来ない。

「まぁ・・・、あの発言に対して妥当な結果ですな・・・」

ツクヨミはがっくりと肩を落としたアマテラスの肩に手をかけた。


明日も続きます。


◎・v・●・v・○・v・◎・v・●・v・○・v・◎・v・●・v・○・v・◎


musica 「高天原編、まさかの本編越え・・・。今日で10話ですって」

つっくん 「君は最初1~2話で終わると言っていたからねw」

m 「びっくりです。ちょっとづつ小出しで渡されたから」

つ 「君の私に対する親和性と許容量の問題があるからね」

m 「そういうものですか」



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by garoumusica | 2016-02-11 05:00 | 稲田姫物語 | Comments(0)
本日も稲田姫物語の続きです、が、なんだか調度良い日本語が思い浮かばなかった部分が多くあって、おかしな所が多いです・・・。

まぁ、ドンマイって事で (ノ)’∀`(ヾ)




「お前はこれから太陽神として生きよ」

スサノオのとツクヨミがアマテラスの発したその言葉の内容を理解出来ずにいると、銅鏡の中に佇むオモイカネが叫んだ。

「なりませぬ!」

(・・・『なりませぬ』?)

ツクヨミはその言葉に違和感を覚え、思わずオモイカネの映る銅鏡を見た。

するとオモイカネもほぼ同時にツクヨミの方を見た。

そして視線が合うや否やオモイカネは目を逸らした。

(『なりませぬ』という事は、姉上の仰っている内容をこの男は知っているという事か・・・)

ツクヨミはこの男が己の知らぬ姉弟の事を知っている事に苛立ちを覚えずにはいられなかった。

『姉上・・・、今なんと仰いました?』

スサノオがようやく口を開いた。

アマテラスは一瞥もせずにツクヨミの顔を掴むと、その顔を己の身体から勢いよく引き剥がした。

ツクヨミはその痛みで声にならぬ声を上げながら、顔面を両手で覆う。

アマテラスはようやく解放されたその身体を脇息にもたれ掛けさせると、頬杖をつき再度スサノオに言った。

「これからは太陽神として生きよ、スサノオ」

『姉上、一体何を言って・・・』

スサノオは己の頭の中が白くなっていく様をありありと感じていた。



クシナダの手を握るスサノオの手が微かに緩んだ。

クシナダはスサノオの顔を見上げると、虚空を見つめるその横顔が心なしか呆然としている様に見える。

(何かあったのかしら・・・)

そのスサノオの様子にクシナダは一抹の不安をその胸に抱かずにはいられなかった。

しかしクシナダが今すべき事はただひとつ、スサノオの邪魔をしない事だ。

スサノオに声を掛けたいのは山々だったが、その思念を乱す振る舞いはしてはならない。

そう己に言い聞かせる。

クシナダは何の役にも立てず、ひたすら寄り添う事しか出来ない己を苛立たしく思った。

だが、今はそれに専念するしかない。



スサノオはクシナダから流れ込む清らかな気を感じ、辛うじて平静を保つ事が出来ていた。

そして呼吸を整えると、アマテラスに言った。

『姉上・・・、私は姉上の仰っている事の意味が分かりません』

太陽を司るという役目は、父であるイザナギがアマテラスに与えたものだ。

その太陽神としての役目を己にせよと言うのは、一体如何なる事なのか・・・。

アマテラスから引き離されたツクヨミは、二人の様子を固唾を呑んで見ているオモイカネの様子にさり気なく目を光らせながらも、二人の会話の様子を見守っていた。

「スサノオよ、お前は自分の名に違和感を覚えた事はないか?」

『私の名に・・・』

スサノオには思い当たる節があった。

父が名付けた姉のアマテラスと兄のツクヨミの名は、それぞれに与えた役を連想させるものだった。

しかし己の名はどうだ?

父には海を司る様言われたが、己の名は海を連想させるものではない。

それに加えスサノオが生まれる以前に既に海神は存在していた。



「お前の名は守り名だ」

アマテラスは言った。

『守り名?』

「守り名、とは少し違うかもしれぬな・・・。戒めと言った方が良いか。お前のその名はお前が克服すべき性質を表している」

『克服すべき性質・・・』

スサノオはアマテラスの言葉を繰り返す。

「『凄まじき男』それがお前だ」

『凄まじき?』

「凄まじき妖力、凄まじき破壊力、凄まじき影響力。挙げればきりが無いが、お前は我々と比べると何もかも桁違いだ。まさしくこの高天原を統べるべき王者と言えよう」

『そんな事は・・・』

スサノオは戸惑いを隠せなかった。

何かにつけ姉と兄に迷惑を掛けてきた己には、王者の自覚もその片鱗も無い。

「だがその凄まじき力は諸刃の剣だ。今までお前のしでかしてきた事を省みれば明らかであろう」

スサノオは己がしでかしてきた狼藉の数々を思い浮かべ、胸を痛めた。

「お前は特にその性質が問題だった。凄まじく荒々しきその性質。その上お前は己を抑えるという事を知らなかった。理性によってお前の妖力をコントロールしなければならぬのに、お前はその性質故にその妖力を悪しき方向に用い、様々なものを破壊してきた」

『・・・』

「父上はお前をこの世に生み出されたその瞬間に、お前のその性質を見抜かれた。お前の存在はこの高天原の幸にもなれば禍ともなる、と」

スサノオはひたすらアマテラスの話を聞いていた。

「そこで父上は策を講じられた。お前の真の名を伏せ、その性質の戒めとなる様言霊を逆に利用し、お前の性質が薄められる様願いを込めた名を付けられた。それが・・・」

『スサノオ・・・』

「そうだ。しかしまぁその言霊の妖力により、その力を抑えるどころか増す方向に動いたと言えよう。父上の失策だ」

アマテラスは鼻で笑った。

「だがお前はクシナダと出逢い、ようやくここに来て己を制御出来る様になってきた。お前のその最も克服すべき性質を」

スサノオはクシナダの手を握る手に力を込めた。



「今日お前と話をし、私はお前に真実を伝えても大丈夫だろうと確信した」

アマテラスは居住まいを正すとスサノオをまっすぐに見据えた。

「スサノオよ、お前は父上がどこを清められた時に生まれた子だ?」

『鼻にございます』

アマテラスは小さく笑った。

「そうだ、鼻だ。だがそれは父上の言葉遊びに過ぎぬ」

『言葉遊び?』

「あぁ。スサノオ、お前は我々の弟ではない。端(はな)に生まれた者、我らの中で初めに生まれたのがお前だ。つまりお前は我々の弟ではなく兄だ」

『兄・・・?』

「兄・・・」

今まで黙って聞いていたツクヨミが思わず呟いた。

「ツクヨミよ、お前はおかしいと思った事はなかったか?なに故女である私が太陽を司っているのか」

「まさか・・・、私は今迄一度たりとも疑った事はありません」

それは本当だった。

ツクヨミはこの世に生み出されてからというもの、偏に太陽神であるアマテラスを支える役にひたすら邁進してきた。

その姉を疑う事など一度も無かった。

今日という日を除いては・・・。

「森羅万象は陰陽に基づき形成されている。例外は無い」

「ですが・・・、陽中の陰とも申しますし・・・」

アマテラスはツクヨミの言葉を遮る。

「我らは左右に分かれ、その中心に在るものを支える役を担い生まれた。その中心に在るものとは何だ?」

ツクヨミは己の顔を撫でながら答えた。

「左右に分かれた目の中心にあるもの、鼻根・・・、鼻・・・」

この姉と弟が支えるべき人物、それは、

「スサノオ、・・・兄上。兄上の本来あるべき姿、それは太陽神だ」


明日も続きます。


☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆


musica 「今日の内容は2日位前に落ちて来たものですが、ぶっちゃけ文字にしたくなくて省こうかと思った内容です」

スーさん 「この物語は古事記のパラレルワールドだろう?気にする事はあるまい」

m 「んー、うちのスーさんって自称スーさんじゃないですか」

ス 「共通の知り合いも居ろう?」

m 「そうですけど。でも本人がスーさん礼讃ぽい事を言い出したら危険だなって」

ス 「高天原編はツクヨミの担当であるし、まして私は君に『我を礼讃せよ』等と言った事は無いぞ?」

m 「そうですけど・・・」

ス 「どちらかと言うと君に痛罵されてるの方が近かろう・・・(´・_・`)」

m 「・・・(´・ω・`)」



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by garoumusica | 2016-02-10 05:18 | 稲田姫物語 | Comments(2)

目に見えない厳ついおっさんと絵描きの会話。それから大変申し訳ありませんが、本サイト内の画像、写真の無断転載・転用を禁止させていただいております。


by musica